飛蝗の農場

飛蝗の農場 (創元推理文庫)

飛蝗の農場 (創元推理文庫)

心理描写や、その描写における比喩表現が恐ろしく上手い作家ですね。
もやもやとわだかまる様な抽象的な感情を、的確な表現で目に見える文字に
おこされており、内容を別にしても読みごたえある作品だと思います。
また全体の構成も巧妙で、ランダムな時間の断片が真実に収束していく様は
ミステリーならではのダイナミズムを感じます。
ただ色々な要素(例えばスティーヴンと捕猟者の関係と、絵描きの頭の弱い二人の関係の対比など)
が意味深ではあるが、これだ!という関連が思いつかないところがボクの弱い脳にはストレスかもw
ミステリアスな読後感がミステリーの持ち味と言ってしまえばそれまででしょうが
それゆえに色んな要素に意味を感じとろうとしてしまうわけで…
なのであえて飛蝗の飼育をしている事にも意外性以外の何かがあったのかしら…と考えてしまいます。

とはいえトータルではずっと印象に残りそうな良質な1冊ではありますた。
でも最後に全てはっきりしないとイヤという人にはオススメできない(・ω・)